懐かしい店を訪ねに行こう
それは学生の頃、週に何度も通った思い出の味。
あの頃、私たちの胃袋を満たしてくれた場所は、今どうなっているのだろうか。私たちをいつも気さくな笑顔と心で迎えてくれた店のおじちゃんは、今どうしているのだろうか。
学生当時、何度も足を運んでいた店を再び訪ねる企画「あの店は今」。
第1弾は、宮崎市丸山にある「味甘家」(現在の屋号はひらがなに変わったため、以下「みかんや」で表記)だ。ここの名物料理、なすの豚肉巻きに舌鼓を打った方も多いのではないだろうか。また、中にはここでアルバイトした卒業生もいることであろう。
そう・・・、みかんやには私たちの青春の味と時間があった。
2代目としてみかんやを引き継ぐ藤谷耕平さんと妻の梢さんに話しを伺った。
今も健在、なすの豚肉巻き
黒い三角巾と腰巻エプロンを身にまとい、慣れた手つきでなすの豚肉巻きを揚げる2代目ご主人の耕平さん。先代の恵順(けいじゅん)さんから約10年前に店を継ぎ、以来奥さんの梢さんと二人三脚で暖簾を守り続けている。
当時と大きく異なるのが、今は【弁当専門店】であること。以前から、持ち帰りをやってほしいという声が多く、また2代目自身もやってみたいと考えていたことから、2年前に思い切って営業スタイルを変えたそう。弁当専門店にしてからは唐揚げが評判になるなど新しい一面もありつつ、先代の頃から人気だった「チキン南蛮」や「豚天」、そして、とある公立大生に「世界の三大発明は、携帯電話、たばこ、なすの豚肉巻き」と言わしめた、名物メニューの数々は当時と何も変わっていない。
と耕平さんは嬉しそうに語る。
変わらない味を食べに行こう
先代が店に立つことはもうないが、今でも「おじちゃんいますか?」と手土産片手に店を訪れる卒業生がいるそうだ。そのことを先代に話すと、当時のことを思い出しながら、すごく喜んでくれるそう。
と耕平さん。
同じ時代に開学・創業し、20年以上、同じ時間をそれぞれ歩んできた公立大とみかんや。あなたも久しぶりに、変わらぬ場所にあるみかんやの暖簾をくぐってみてはいかがだろうか。代は変われど、店主の「いらっしゃい」という元気のよい声と変わらない味が、当時の記憶を色鮮やかに思い出させてくれるだろう。