<なな会だより>近況報告リレー “有村香澄さん”【前編】

有名女優と読みは同じでも漢字は違う有村香澄

同姓同名の本名で役者を続けてきた彼女は2022年度、所属する団体「みやざき演劇若手の会」の代表を卒業する。

宮崎公立大学で演劇の楽しさを自覚し、

「演劇は普段の生活にもつながっているし、生きていることにもつながっている」

と話す有村さんにとって、若手の会卒業は次へのスタートライン。卒業公演と位置づける2月の舞台へ向けて稽古を続ける有村さんに話を聞いた。

大学で見つけた「今たのしい」理由

わがままを詰め込んだ卒業公演へ

宮崎県内各地で活動する30歳未満の役者たちで構成する「みやざき演劇若手の会」。

所属する劇団や立場もバラバラだが、2013年の発足当初から「宮崎の演劇を盛り上げよう!」をモットーに活動する。定期的なワークショップや年度末の自主公演を続け、宮崎の演劇界に若い力を注ぎ込んできた。

2021年4月から会長となった有村さん。コロナ禍で思ったような活動もできなかった期間を乗り越えて、ようやく集大成の場を迎えようとしている。自分自身が主役で、自分のやりたいこと詰め込んだ卒業公演のタイトルは「すももが落ちても花は香る」。「生きづらさ」をテーマにした舞台には、若手の会なりのメッセージを込めるつもりだ。

「世の中はコロナ禍になって、SNSからも気が滅入るような情報も入ってくるようになって、いろんな生きづらさがあると思うんです。その中でどう生きていくかっていうよりも『こうやって生きていくのもいいよね』っていうのを私たちなりに出せたらいいな」

(みやざき演劇若手の会)

演劇のことになると、いつも以上におしゃべりになる有村さん。彼女がここまで演劇に夢中になるきっかけは、小学生時代にまでさかのぼる。

スポットライトが眩しくて

有村さんが生まれたのは、鹿児島県の大隅半島の東側、志布志市。南九州の海の玄関口として貨物船が頻繁に出入りするが、街の規模は決して大きくない。市民劇団もない街にやってきたのが、国内最大規模の演劇集団「劇団四季」の巡回公演だった。

演劇好きの母に連れられて客席に座ると、舞台上ではスポットライトを浴び、生き生きとキャラクターを演じていた人たちがいた。

その人たちが「役者」という仕事をしていることを知った瞬間から夢は決まった。

高校は宮崎県の都城市にある高校に進学した。そこには小さいながらも演劇部がある。いよいよ演劇が始められるかと思ったが、そうもいかなかった。

通学手段のバスは、朝は午前8時に学校に着き、帰りは午後5時には出発する。部活に入るような時間はなかった。

どうしようもないまま時間は過ぎたが、きっかけは突然やってきた。

ミッション系の高校だったこともあり、クリスマスが間近の学校行事では演劇の上演もあった。
その劇に出演する人数が足りず、「だれか出てくれる人いないかな」と他の生徒が探しに来ていた。

有村さんは緊張しながらも「私も出ていいかな」と手を上げた。それが、演劇の舞台へ上がった最初の一歩だった。

クリスマスの舞台は、本番中に被り物を落としてしまう失態で華やかな役者デビューではなかった。
悔しさばかりが残ったが、友達から「堂々としていたよ」と声をかけられたことで吹っ切れた。
親を説得して、部活のために送迎をしてもらう約束を取り付け、高校2年の春、ようやく演劇部に入ることができた。

「最初に台本を声に出して読んだとき、すごく恥ずかしかったことを覚えてます。役者っぽく読んでみるってことが恥ずかしくて、棒読みで読んでしまっていました。そんな私からみたら先輩たちはめちゃくちゃかっこ良くて、その先輩を見ながらやってましたね。」

結局、高校時代に演劇部として活動したのは文化祭での舞台のみ。

その舞台も、共演者が台詞を忘れて最後まで上演できなかったが、有村さんにとってはプラスもあった。

「劇の途中で私が叫ぶシーンがあったんです。普段はおとなしいイメージを持たれていたんですけど、そんな私が叫んだので、みんなから『あんな大きな声出るんだね。すごかったよ』って言われたことが嬉しかったんですよね。」

教室とは違う自分が舞台にいる。

そんな自分を見て、みんなに楽しんでもらえている。

小学生の自分を魅了した劇団四季のように、とまではいかなくても、スポットライトの当たる舞台に立てることが嬉しかった。

《続きは下記からご覧いただけます♪》

<なな会だより>近況報告リレー “有村香澄さん”【中編】

《公演情報》

■みやざき演劇若手の会公演
「すももが落ちても花は香る」
〜「令和4年度 宮崎県ひなたの文化活動推進事業」採択事業「にちじょうじかん」より〜

・日時:2023年2月25日(金)18時~、2月26日11時~、16時~(全3公演)
・会場:小倉邸(宮崎県北諾具那三股田大字横山 3991-1)※駐車場は早馬神社
・チケット料金:一般2000円、29歳以下1,500円(いずれも当日券は500円増し)
・予約フォーム:https://ssl.form-mailer.jp/fms/12ac9952759173

 

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